今回は、「造り、出荷時期、搾りによる味わいの違い」について解説していきます。
テーマでもある「飲みたい味の日本酒がわかる」という部分がポイントなので、造り方などの小難しい話しは極力ナシ!!
あくまでも「味わいベース」で説明していきます。
前回は、味わいを4タイプ別にわけた分類法を解説しました。
記事を読んでない方はコチラ↓
目次
造り方による味わいの違い

ここで紹介する造り方で違う日本酒とは、
- 加熱殺菌をしていない日本酒(生酒)
- 澱も一緒にビン詰めした日本酒(にごり酒)
- 自然の乳酸菌を取り込んで造られた日本酒(生酛、山廃)
なお、小難しい製造工程のことなどはおいおい記事にしていこうと思います。
生酒
加熱殺菌処理をしていないビールのことなんて言いますか?
「生ビール」って言いますよね。
生酒の「生」もこれと同じで「加熱殺菌してませんよ!」ってこと。
生酒の味わいの特徴は、造りたてそのままの「フレッシュ感!」が楽しめることです。
フレッシュ、甘み、酸味、瑞々しさ、清涼感、軽快、青っぽさ
(ものによってはガス感あり)
生酛と山廃酛
「山廃純米」「生酛純米吟醸」など特定名称のまえにその名を冠することが多いこのタイプ。
自然界の乳酸菌を活用して造られた日本酒が「生酛、山廃酛」です。
主流の「速醸酛」といわれる手法は、用意された乳酸菌を添加するのですが、「生酛、山廃」は自然界の乳酸菌を取り込んで造られます。
※日本酒の9割が「速醸酛」1割が「生酛、山廃酛」と言われています。
自然界の乳酸菌をつかって造られた日本酒は、いろいろな微生物が混入しては淘汰されるため速醸酛に比べ濃醇で複雑な味わいになります。
複雑、濃醇、酸味、旨味、渋味、骨太、奥行き、燗上がり、コク、野生的で強い味
にごり酒
「澱(おり)」とよばれる醪(もろみ)の搾りかすが混ざり、白く濁った日本酒を「にごり酒」といいます。
※醪を搾りきった搾りカスが「酒粕」です。
にごり方や手法により「にごり酒」「薄にごり」「おりがらみ」など商品名はいろいろですが、明確な基準は設けられていません。
またにごり酒には、「活性にごり酒」と呼ばれているものもあります。
「活性にごり酒」は生のまま瓶詰めされていて、加熱殺菌されていません。
酵母が生きたまま瓶詰めされているため、発酵がつづき炭酸ガスを発生させます。
そのため、ピチピチとした発泡感が楽しめます。
旨味がありながらフレッシュ。
にごり方で、「濃厚でどっしりしたもの」〜「軽めでライトなもの」まである
活性にごりは、ピチピチとした発泡感
どぶろく
「どぶろく」と「にごり酒」は似て非なるものです!
酒税法上の清酒(日本酒)の定義は、
「米、米こうじ、水を発酵させて濾したもの」
この「濾す」というのがポイント!
日本酒は、濾すことが絶対条件!
- 「にごり酒」 醪を目の粗い布で漉した酒(清酒)
- 「どぶろく」 醪を濾さず、麹や米粒が混じったままの酒
なので「どぶろく」は、日本酒ではなのです!
酒税法上は、「清酒(日本酒)」ではなく「その他醸造酒、または濁酒」と分類されます。
麹、米粒の残存率が高い
にごり酒よりもっと米の旨味がのっていてトロットロ、ドロドロ
(ものによっては米粒感が残っていないシルキーなものもある)
出荷時期による味わいの違い

方向性として、
- 「新酒」と「夏酒」は似た味わい
- 「ひやおろし」と「寒おろし」は似た味わい
ひと夏を越え、熟成が深まり味わいがガラッと変わるのがポイントです。
新酒、しぼりたて
新酒とは時のごとく「新しいお酒」という意味です。
定義としては、
酒造年度内(7/1〜6/30)に製造、出荷されたもの
※酒造年度・・・7月1日から6月30日までのこと。日本酒造りは米が育ち、秋に収穫され、冬から春にかけて行われる。年度を7月1日からにしたほうが会計上の問題や色々な観点から都合がいい(酒造年度は、Brewery Yearの略で「BY」と表記されることもある)
「はっ?よくわかんねーし。幅広くね??」
ってなりますよね?笑
一般的な日本酒造りは、秋に米を収穫し、冬〜春にかけて造られ、出荷されます。
基本的に、できあがってすぐ、春頃までに出荷される日本酒が「新酒」と思ってもらって大丈夫です。
時期的には12月〜3月ごろに最も多くの新酒(しぼりたて)が出回ります。
フレッシュ、軽い飲み口、キレがある、新鮮な風味
夏酒
「夏酒」は2007年ごろから使われるようになった言葉で、日本酒需要が落ち込む夏の打開策的戦略から生まれた言葉です。
「夏にも美味しく飲める日本酒はあるよ!」てなメッセージを打ち出したかったわけですね。
爽快でキレがいいもの。低アルコールでグイグイ飲めるもの。ロックでキンキンに冷やして飲むスタイル。など様々なコンセプトをもった日本酒が各蔵から発売されています。
出回る時期は6月〜8月ってところですかね。
フレッシュ、キレがいい、スッキリした酸味、発泡タイプ、ロックスタイル、軽快、爽快感
ひやおろし、秋あがり
冬場に造り、春先に搾った日本酒を夏の間に熟成させ、秋口(9月〜10月頃)に出荷するものを「ひやおろし」と呼びます。秋上がりなんて呼び方もしますね。
一夏越えると日本酒の味わいがガラッと変わるところがポイント!
旨味、深みが増し、角がとれたまろやかさが生まれます。
旨味、コク、まろやか、円熟味、厚み、ボリューム
寒おろし
ひやおろしよりさらに熟成期間を伸ばし、11月に入ってから満を持して出荷されるのが「寒おろし」です。
造り始めが早い蔵だと新酒も出てくる時期なので、完熟した旨味の「寒おろし」と造りたてフレッシュな「新酒」の飲み比べなんかも面白いですね。
また、ひやおろしもそうなんですが、こういった旨味がノッてボディーがある日本酒は、熱燗にしても最高にうまいです!
旨味、コク、まろやか、円熟味、厚み、ボリューム、完熟感
搾りによる味わいの違い

日本酒造りのクライマックスに「上槽(じょうそう)」という作業がありますが、これは醪を搾って、生酒と酒粕に分ける作業です。
醪を搾って流れ出てきたどの部分を取るかで酒の味わいは変わってきます。
あらばしり
日本酒は圧力をかけて搾りますが、圧力をかける前に流れ出てくる部分が「あらばしり」です。
1番最初にでてくる部分です。
フレッシュで濃くてインパクトが強い
荒々しい味わいともいわれますが、これはデメリットというよりかは躍動感という個性
中取り、中垂れ
次に出てくる部分が最も酒質が良いとされる「中取り」です。
「あらばしり」と「責め」はこの中取り部分とブレンドされて出荷されるのが一般的です。
透明感があり綺麗、味と香りのバランスも1番優れている
責め
最後に流れ出てくる圧力をかけて搾り切った部分が「責め」です。
荒々しく雑味があり濃厚な味わい。
アルコール分が1番高い
苦味が強調されやすい
まとめ
なんとなく味わいのイメージつかめましたか?
「日本酒の味わいと特徴を知る②」ではよく目にする種類の日本酒を、主観的判断でピックアップさせてもらいました。
「樽酒」「貴醸酒」「菩提酛、水酛」など味わいに特徴をもった日本酒はまだまだ沢山あります。
今後また紹介していきたいと思います。
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